マニュアルの作り方|業務マニュアル・手順書を5ステップで作るテンプレートと、使われ続ける直し方

業務マニュアルと手順書の作り方を5ステップで解説します。コピーして使える手順書テンプレート、わかりやすく書くコツ、ベテランに聞き取って作るAIのプロンプト、答えられなかった質問をきっかけに直して使われ続けるマニュアルにする方法まで紹介します。
目次
1.マニュアルと手順書の違い
1-1.マニュアルは業務の全体、手順書は1つの作業
1-2.判断の決め手は、手順とは別の欄に書く
2.マニュアル作成の5ステップ
2-1.1. 目的と読む人を決める
2-2.2. 業務を洗い出して、作る順番を決める
2-3.3. 目次と型を決める
2-4.4. 書く(または聞き取ってまとめる)
2-5.5. 実際に使ってもらって直す
3.コピーして使える手順書テンプレート
4.わかりやすいマニュアルにするコツ
4-1.1つの手順には1つの動作だけを書く
4-2.言葉と表記をそろえる
4-3.画面や写真は、見るべき所に印を付ける
4-4.理由を一言添える
4-5.過去のトラブルを書いておく
5.書き出すより聞き取る|AIに聞き取らせて手順書を作る
6.作ったあとに使われ続けるための直し方
6-1.直すきっかけは「答えられなかった質問」
6-2.当社の手順書は、約2か月で何度も書き足した
6-3.増やすだけでなく、削る
7.マニュアル作成ツールの選び方
8.まとめ
「マニュアルを作っておいて」と頼まれたものの、何から手を付ければいいか分からず、Wordを開いたまま手が止まってしまった経験はないでしょうか。苦労して作ったのに読まれない、結局みんな担当者に聞きに行く、気づけば内容が古くなっている、という悩みもよく聞きます。
この記事では、業務マニュアルと手順書の作り方を5つのステップで解説し、そのままコピーして使える手順書のテンプレートを紹介します。後半では、ベテランに書き出してもらう代わりにAIに聞き取らせて作る方法と、作ったあとに使われ続けるための直し方も取り上げます。
結論から言うと、使われるマニュアルにするためのポイントは2つあります。1つは、手順だけでなく「いつもと違うときにどう判断するか」を書く欄を最初から用意すること、もう1つは、作って終わりにせず、マニュアルで答えられなかった質問をきっかけに書き足していくことです。
マニュアルと手順書の違い
作り始める前に、マニュアルと手順書の違いを整理しておきます。呼び方は会社によってまちまちですが、何をどの粒度で書くかを決めるうえで、この区別は役に立ちます。

マニュアル(業務マニュアル) | 手順書(作業手順書) | |
範囲 | 業務全体(目的・流れ・決まり・関係者) | 1つの作業 |
読む場面 | 仕事を覚えるとき・全体を見直すとき | 作業をしながら手元で見るとき |
書く中身 | なぜその業務があるか、どの順で何をするか | 何をどの順で、どうやるか |
例 | 経理の月次決算マニュアル | 請求書を会計ソフトに登録する手順書 |
マニュアルは業務の全体、手順書は1つの作業
マニュアルは、業務の目的やルール、全体の流れ、関わる人までを含めた「業務の地図」にあたります。手順書はその中の1つの作業を、誰がやっても同じ結果になるように順番どおり書いたものです。マニュアルの中に手順書を何本かぶら下げる形にすると、全体を知りたい人も、目の前の作業だけ知りたい人も迷いにくくなります。
判断の決め手は、手順とは別の欄に書く
手順書を作っても担当者に質問が集まる職場では、手順ではなく判断が書かれていないことが多いです。「この取引先は入金が遅れがちだから、先に営業に確かめる」のような判断は、担当者にとって当たり前すぎて、書き出してもらっても出てきにくいものです。手順の列とは別に「判断の決め手・注意」の列を用意しておくと、書く人も読む人も、そこに何が入るべきかを意識できます。言葉になっていない知識の扱い方は「暗黙知とは?形式知との違いとSECIモデルを分かりやすく解説|言葉にする聞き方まで」で詳しく書いています。
マニュアル作成の5ステップ
ここからは、業務マニュアルを作る流れを5つのステップで紹介します。1冊を完璧に仕上げようとせず、よく使う作業から1本ずつ作るのが続けるこつです。

1. 目的と読む人を決める
最初に、誰が、どんな場面で読むマニュアルなのかを決めます。入社したばかりの人が一人で作業できるようにするのか、異動してきた経験者が全体をつかむためなのかで、書く粒度は大きく変わります。「この手順書を読めば、入社1か月の人が一人で請求書を登録できる」のように、読み終えた人ができるようになることを1文で書いておくと、あとで迷ったときの判断の基準になります。
2. 業務を洗い出して、作る順番を決める
次に、対象の業務を作業の単位まで書き出し、頻度と、間違えたときの影響の大きさで並べます。毎日ある作業と、年に数回しかないのに間違えると大きな問題になる作業から作ると、少ない手間で効果が出やすくなります。年に1回の作業は担当者の記憶に頼りがちなので、特に優先して残しておきたいところです。
3. 目次と型を決める
書き始める前に、目次と、1本ごとの型(どの項目をどの順で書くか)を決めます。型がそろっていると、読む人はどこを見れば何が書いてあるかが分かり、書く人も迷わずに済みます。手順書の型は、次の章のテンプレートをそのまま使えます。
4. 書く(または聞き取ってまとめる)
型に沿って中身を埋めます。担当者が自分で書くのが基本ですが、忙しい担当者に書く時間を取ってもらうのは難しく、書き出すと判断の決め手が抜けやすいという弱みもあります。そうした場合は、作る人が担当者に聞き取ってまとめる方が早く、中身も濃くなります。聞き取りをAIに任せる方法は、後半の章で紹介します。
5. 実際に使ってもらって直す
書き上げたら、その業務を知らない人に手順書だけを見て作業してもらいます。手が止まった所や、質問が出た所が、手順書の足りない所です。最初から完璧を目指すより、1回使ってもらって直す方が、読み手に合ったものになります。
コピーして使える手順書テンプレート
1つの作業の手順書は、次の型で作ることをおすすめします。上の段に手順書そのものの情報、下の表に手順を書きます。手順の表に「判断の決め手・注意」と「できたかの確かめ方」の列を入れているのがこの型の特徴です。

項目 | 書くこと |
手順書の名前 | 何の作業か(例:請求書を会計ソフトに登録する) |
目的 | この作業をしないと何が困るか |
読む人 | 誰が読む前提か(例:入社1か月の経理担当) |
使う場面・頻度 | いつ行うか(例:毎月5営業日まで) |
必要なもの | 使うシステム・資料・権限(IDやパスワードは書かない) |
所要時間 | 慣れた人で何分か |
更新日・担当 | 最後に直した日と、直す担当者 |
番号 | 作業 | やり方 | 判断の決め手・注意 | できたかの確かめ方 |
(記入例)1 | 届いた請求書を確かめる | 共有フォルダの「受領」から開く | 金額が見積と違うときは登録せず営業に確かめる | 見積の番号と金額が一致している |
(記入例)2 | 会計ソフトに登録する | 取引先・金額・支払日を入れる | 支払日が休日なら前の営業日にする | 登録一覧に1件増えている |
記入例は、型の使い方を示すための想定の例です。「判断の決め手・注意」の列が空のままの行は、担当者に「ここでいつもと違うことは起きますか」と聞いてみてください。空欄が埋まるほど、担当者に聞きに行く回数が減ります。
辞める人や異動する人から仕事全体を受け取るときは、手順書だけでは足りず、進行中の案件や関係者も残す必要があります。その場合の項目は「業務引継書テンプレート|AIに聞き取らせて作る、後任が困らない書き方」で紹介しています。お客様からの理不尽な要求への対応のように、方針と記録の残し方まで決める必要があるマニュアルは「カスハラ対応マニュアルの作り方|基本方針の例文と、入れておく7つの項目」が参考になります。
わかりやすいマニュアルにするコツ
同じ中身でも、書き方で読みやすさは大きく変わります。現場で読まれるマニュアルにするためのコツを5つ紹介します。
1つの手順には1つの動作だけを書く
「請求書を開いて金額を確かめ、問題なければ登録する」のように1行に複数の動作を詰めると、どこまで終わったかが分からなくなります。1行に1つの動作だけを書き、番号を振ると、途中で手を止めても再開しやすくなります。
言葉と表記をそろえる
同じものを「取引先」「得意先」「お客様」と書き分けると、読む人は別のものかと迷います。社内で使う言葉を決め、システムのボタンの名前は画面の表示どおりに書きます。
画面や写真は、見るべき所に印を付ける
画面の写真を貼るだけでは、どこを見ればいいのかが伝わりません。押すボタンや入れる欄を枠で囲み、手順の番号と対応させると、文章を読まなくても目で追えます。
理由を一言添える
「支払日が休日なら前の営業日にする」と書くだけより、「遅れると取引先に延滞と受け取られるため」と理由を添える方が、手順書に無い場面に出会ったときに読む人が自分で判断できます。
過去のトラブルを書いておく
以前に起きた間違いや問い合わせは、同じことが起きやすい所の目印です。トラブルの記録から手順書に書き足す考え方は「再発防止策の書き方と例文|報告書の項目と、「注意します」で終わらせない記録の残し方」で書いています。
書き出すより聞き取る|AIに聞き取らせて手順書を作る
マニュアル作りが止まる一番の理由は、知っている人が忙しくて書く時間が取れないことです。そこで当社がすすめているのは、担当者に書いてもらうのではなく、AIに担当者へ質問させ、答えから手順書の下書きを作る方法です。
当社が引き継ぎ用の聞き取りのプロンプトを架空の業務で試したときは、前任者に仕込んだ9つの知識のうち、理由まで残ったのは、表を自分で埋めた場合が3つ、AIに聞き取らせた場合が8つでした。前任者の役もAIが演じた1回だけの試しで、使ったAIは Claude だけなので、実際の人で同じ差が出るかは確かめていませんが、聞き方によって残る中身が変わることは読み取れます。
次のプロンプトは、上のテンプレートの形で手順書を作るために、引き継ぎ用のプロンプトを手順書向けに組み替えたものです。この形のままでは試していないので、使うときは、できた手順書をその業務を知らない人に読んでもらって確かめてください。
あなたは業務の手順書を作るための聞き手です。
これから、ある作業をいつも担当している人に話を聞きます。
目的は、その作業を初めて行う人が、手順書だけを見て一人でできるようにすることです。
聞き方の決まり:
- 質問は1回に1つだけにしてください。
- 最初に、作業の名前・目的・頻度・使うシステムと資料を聞いてください。
- 次に、作業を始めから順に1つずつ聞いてください。
- 各手順で「いつもと違うことが起きるのはどんなときか」「そのときどう判断するか」を必ず聞いてください。
- 各手順で「できたかどうかを何で確かめるか」を聞いてください。
- 「なぜ」と聞くより「そのとき何を見ていましたか」と聞いてください。
- 一通り聞いたら「ほかに、新人がよく間違える所はありますか」と聞いてください。
- IDやパスワードは聞かず、答えにあっても書かないでください。
聞き終えたら、次の形でまとめてください。
1. 手順書の名前・目的・読む人・使う場面と頻度・必要なもの・所要時間
2. 表(番号/作業/やり方/判断の決め手・注意/できたかの確かめ方)
3. 聞き取りで分からなかったこと(担当者に確かめる項目)社内の資料や取引先の情報をAIに入れるときは、会社として使ってよいAIと入れてよい情報を先に決めておきます。考え方は「ChatGPT・生成AIの情報漏洩はなぜ起きる?5つの経路とプラン別の扱い、会社でできる対策」で書いています。
作ったあとに使われ続けるための直し方
マニュアルは作った日から古くなり始めます。手順が変わっても直されず、読んだ人が「どうせ古い」と思って担当者に聞くようになると、マニュアルは使われなくなります。

直すきっかけは「答えられなかった質問」
いつ直すかを決めずにいると、直す作業は後回しになります。そこで、担当者に来た質問のうち、マニュアルで答えられなかったものを記録しておき、それをきっかけに書き足す形をおすすめします。マニュアルで答えられなかった質問は、そのままマニュアルに足りない所の一覧になるからです。質問の記録の付け方は「属人化を解消する手順と事例|答えられなかった質問から見つけ、AIで聞き取って残す」で表の形で紹介しています。
当社の手順書は、約2か月で何度も書き足した
当社では、外注先からの請求書の受け取り、売上の請求書の作成、顧客情報の登録、取引先へのメールの返信といった業務ごとに手順書を作り、AIに任せています。手順書で判断できない所はAIが代表に確かめ、その答えを手順書に書き足す形にしたところ、記録を取り始めた2026年9月5日から10月31日までの約2か月で、手順書への変更は顧客情報の登録で22回、メールの返信で15回、外注先の請求書の受け取りで8回、請求書の作成で7回ありました。
どの手順書も、作った時点では書かれていなかった判断が、実際に業務を回して迷ったり違う結果が出たりしたときに初めて言葉になりました。ここで使っているのは汎用のAIと手順書で、相棒AIの導入事例ではありませんが、手順書は最初に書き切るものではなく、使いながら育てるものだということがよく分かります。
増やすだけでなく、削る
書き足していくと、手順書は長くなり、人にもAIにも読みにくくなります。当社では手順書ごとに長さの上限を決め、超えたら重なりや、もう要らない注記を削っています。更新日と担当を手順書の頭に書いておくと、誰がいつ直すかで迷わずに済みます。
マニュアル作成ツールの選び方
マニュアルは Word や Excel でも十分に作れます。最初の1本を作る段階では、使い慣れた道具で型を決めることの方が大切です。本数が増えてきたら、次の3つの点で道具を見直します。
見る点 | 確かめること |
探しやすさ | 名前や言葉で検索でき、必要な手順書にすぐたどり着けるか |
直しやすさ | 担当者がその場で直せて、いつ誰が直したかが残るか |
見る場所 | 作業する場所(現場・スマホ・パソコン)で開けるか |
社内の資料を1か所にまとめて探しやすくする方法は「社内Wikiを無料で作る方法4ステップで解説|おすすめツールと失敗理由も紹介」でまとめています。マニュアルが増えると、今度は「どこに書いてあるか分からない」が新しい質問になります。社内の資料をもとにAIに答えさせる方法も選択肢になり、無料の道具で自作するときの注意は「社内チャットボットを自作する前に|NotebookLM・Difyでできること、答えられない質問の見つけ方」で書いています。
当社の「相棒AI」は、社内のマニュアルや手順書から引用をつけて答え、資料に無い内容を引用として出さないように作っています。管理する人は、何が聞かれ、何に答えられなかったかを見られるので、この記事で紹介した「答えられなかった質問から直す」流れをそのまま回せます。
まとめ
- マニュアルは業務の全体、手順書は1つの作業。マニュアルの下に手順書をぶら下げる形にすると迷いにくい
- 作る流れは、目的と読む人を決める、業務を洗い出して順番を決める、目次と型を決める、書く(聞き取る)、使ってもらって直す、の5ステップ
- 手順書には手順とは別に「判断の決め手・注意」と「できたかの確かめ方」の欄を設ける
- 担当者に書く時間が無いときは、AIに聞き取らせて下書きを作る
- マニュアルで答えられなかった質問をきっかけに書き足し、長くなったら削る
マニュアル作りは、最初の1本を完璧にするより、よく使う作業から型をそろえて作り、使われながら直していく方がうまくいきます。まずは、担当者がいないと止まってしまう作業を1つ選び、上のテンプレートで手順書を作ってみてください。
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よくある質問
- マニュアルと手順書の違いは何ですか。
- マニュアルは業務全体の目的・流れ・決まり・関係者までを含めたもので、手順書はその中の1つの作業を、誰がやっても同じ結果になるように順番どおり書いたものです。マニュアルの下に手順書をぶら下げる形にすると迷いにくくなります。
- マニュアルは何から作ればいいですか。
- まず誰がどんな場面で読むかを決め、業務を作業の単位まで書き出します。毎日ある作業と、年に数回しかないのに間違えると影響の大きい作業から、1本ずつ作るのがおすすめです。
- 手順書のテンプレートにはどんな項目を入れればいいですか。
- 手順書の名前・目的・読む人・使う場面と頻度・必要なもの・所要時間・更新日と担当を上に置き、手順の表には番号・作業・やり方・判断の決め手と注意・できたかの確かめ方の列を入れます。
- 担当者が忙しくてマニュアルを書く時間がありません。
- 担当者に書いてもらう代わりに、作る人やAIが担当者に質問して、答えから下書きを作る方法があります。聞き取りの方が、担当者にとって当たり前すぎて書き出されにくい判断の決め手も残りやすくなります。
- 作ったマニュアルが使われなくなるのを防ぐには。
- 担当者に来た質問のうち、マニュアルで答えられなかったものを記録し、それをきっかけに書き足します。手順書の頭に更新日と担当を書き、長くなったら重なりや要らない注記を削って読める量に保ちます。
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記事を読むこの記事を書いた人

株式会社デイワン 代表取締役 月森 隼人
不動産コンサルタント、注文住宅やマンションなどの企画営業を経験し、大手広告代理店のデジタル部署にて、Web領域でのブランディングややディレクションなど上流から幅広く担当。






