属人化を解消する手順と事例|答えられなかった質問から見つけ、AIで聞き取って残す

属人化を解消する5つの手順を解説します。社内で聞かれていることと答えられなかった質問の記録から属人化している所を見つけ、知っている人にAIが聞き取って文書に残す方法と、当社と導入先で進めている取り組みも紹介します。
目次
1.属人化とは|「あの人に聞かないと分からない」状態
1-1.属人化と専門化の違い
1-2.属人化しているサイン
2.属人化が起きる原因
2-1.忙しくて、書き残す時間が取れない
2-2.判断の決め手が言葉になっていない
2-3.書いても更新されず、聞いたほうが早くなる
2-4.担当者本人も、全部を棚卸しできない
3.属人化がダメな理由|放置したときに起きること
3-1.担当者が休めない・辞められない
3-2.仕事の質がそろわず、改善もしにくい
3-3.引き継ぎのたびに、同じ抜けが繰り返される
3-4.属人化のすべてが悪いわけではない
4.属人化を解消する手順|5つのステップ
4-1.1. 聞かれていることを記録する
4-2.2. 止まると困る順に並べる
4-3.3. 知っている人に聞き取る
4-4.4. 文書にして、聞かれる所に置く
4-5.5. 答えられなかった質問で直し続ける
5.属人化している所の見つけ方|答えられなかった質問の記録から
5-1.本人に「何が属人化していますか」と聞かない理由
5-2.期間を決めて、聞かれたことを書き留める
5-3.記録から見える3つのサイン
6.属人化をAIで解消するには
6-1.AIは「学習」ではなく、社内の資料を引いて答える
6-2.答えられなかった質問が、属人化の地図になる
6-3.知っている人にAIが聞き取って、文書に残す
6-4.AIに任せること、人が決めること
6-5.社内の情報をAIに入れるときの注意
7.属人化の解消に向けた事例|当社と導入先の取り組み
7-1.代表の頭の中にあった判断を、手順書にしてAIに任せた
7-2.夜中の電話と、ベテランしか場所が分からない外国語のマニュアル
7-3.他社が作った社内システム
8.属人化の解消でつまずきやすいところ
8-1.マニュアルを作って終わる
8-2.担当者が知識を出したがらない
8-3.すべてを標準化しようとする
9.属人化の解消についてよくある質問
9-1.どの業務から始めればいい?
9-2.どのくらいの期間がかかる?
9-3.ツールを入れれば解消できる?
10.まとめ|属人化は「聞かれていること」から見つけ、聞き取って残す
「この件はあの人に聞かないと分からない」という業務は、どの会社でも起こりやすいものです。担当者がいるうちは聞けば済みますが、その人が休んだり異動したりすると、仕事が止まったり、取引先への返事が遅れたりします。
属人化を解消しようとして、まず業務マニュアルを作ろうとする会社は少なくありません。ただ、何が属人化しているのかを担当者本人に書き出してもらうと、本人にとって当たり前の判断ほど出てこないため、手順だけが並んだマニュアルになりがちです。
この記事では、属人化を解消する手順を5つのステップで解説します。特徴は、最初の「どこが属人化しているか」を担当者の記憶に頼らず、社内で実際に聞かれていることと、資料で答えられなかった質問の記録から見つけるところです。そのうえで、知っている人にAIが聞き取って文書に残す方法、当社が自社の業務で試した解消事例と、相棒AIを導入している会社での取り組み、よくある質問への答えもあわせて紹介します。
属人化とは|「あの人に聞かないと分からない」状態
属人化とは、ある業務のやり方や判断が特定の担当者の頭の中にしかなく、その人がいないと業務が進まない状態を指します。手順書が無い場合だけでなく、手順書はあっても「いつもと違うときにどうするか」がその人にしか分からない場合も、属人化しているといえます。
属人化と専門化の違い
専門性の高い仕事を特定の人が担うこと自体は、悪いことではありません。違いは、その人の知識がほかの人にも使える形で残っているかどうかで、担当者が休んでも残された資料や判断の基準でほかの人が代わりに進められるなら専門化、その人がいないと止まってしまうなら属人化と考えると分かりやすくなります。
属人化しているサイン
次のような様子が見られる業務は、属人化しかけている可能性があります。
- 担当者が休むと、その業務が止まるか後回しになる
- 同じような質問が、いつも同じ人に集まる
- 新しく来た人が、誰に聞けばよいかを探している
- 資料はあるが古く、結局は担当者に聞いたほうが早い
- 手順は書いてあるが、迷ったときの判断は書いていない
属人化が起きる原因
属人化は担当者の性格や意識の問題として語られることがありますが、実際には日々の仕事の進め方から生まれやすいものです。主な原因として、次の4つが挙げられます。
忙しくて、書き残す時間が取れない
日々の業務に追われていると、やり方を文書に残す作業はどうしても後回しになります。書き残すことが評価されない職場ではなおさら手が回らず、知識は担当者の頭の中に積み上がっていきます。
判断の決め手が言葉になっていない
手順は書き出せても、「この取引先は入金が遅れがちだから、先に営業に確かめる」のような判断の決め手は、本人にとって当たり前すぎて言葉になっていないことがよくあります。こうした言葉になっていない知識(暗黙知)は、手順書を作っても抜け落ちやすく、属人化が残りやすいところです。
書いても更新されず、聞いたほうが早くなる
一度は資料を作っても、業務が変わるたびに直されなければ、すぐに古くなります。古い資料しかないと周りは担当者に直接聞くようになり、聞かれた人が答えるほど資料は使われなくなる、という流れが続きます。
担当者本人も、全部を棚卸しできない
当社が現場でよく見かけるのは、異動のときに Excel や文書にまとめて引き継いだものの、最初のうちは後任が前任者に電話やメールで何度も聞き、足りない部分を補っているという形です。担当者自身が自分の業務をすべて棚卸しするのは難しく、会社として決まったフォーマットもないことが多いため、本人に書き出してもらうだけではどうしても抜けが出ます。
属人化がダメな理由|放置したときに起きること

属人化した業務は、担当者がいるあいだは問題なく回っているように見えるため、手を付けるのが遅れがちです。放置すると、次のようなことが起きやすくなります。
担当者が休めない・辞められない
その人にしか分からない業務を抱えていると、休みの日にも問い合わせの電話やメッセージが届き、長い休みを取りにくくなります。頼れる人がいない状態が続けば担当者の負担は増える一方で、急な退職や体調を崩したときには、業務がそのまま止まってしまいます。
仕事の質がそろわず、改善もしにくい
やり方がその人の頭の中にしかないと、ほかの人が同じ業務をしたときに結果がそろいません。業務の中身が周りから見えないので、どこに無駄があるのかを話し合うことも難しくなります。
引き継ぎのたびに、同じ抜けが繰り返される
属人化した業務は、異動や退職のたびに引継書をゼロから作ることになります。辞める直前の忙しい時期に書かれた引継書には手順と資料の場所しか残らないことが多く、担当が替わるたびに同じ抜けが繰り返されます。
属人化のすべてが悪いわけではない
担当者の工夫や経験が仕事の質を支えている面もあるので、すべての業務を誰でもできる形にそろえる必要はありません。目指したいのは、その人がいなくても業務が止まらず、判断の基準がほかの人にも分かる状態です。
属人化を解消する手順|5つのステップ

業務の属人化は、次の5つのステップで解消を進めます。よく紹介される手順との違いは、最初に担当者の記憶ではなく「聞かれていること」の記録から属人化している所を見つける点と、最後に文書を直し続ける仕組みまで作る点です。
1. 聞かれていることを記録する
まず、社内で誰に何が聞かれているかを、期間を決めて記録します。担当者に「属人化している業務は何ですか」と聞くよりも、実際に聞かれた質問を集めたほうが、業務が止まりやすい所が具体的に見えてきます。記録の取り方は、次の章で詳しく紹介します。
2. 止まると困る順に並べる
記録から見つかった業務を、止まったときの影響が大きい順に並べます。取引先が関わるもの、期限があるもの、担当者が1人しかいないものから手を付けると、時間が限られていても影響を小さくできます。
3. 知っている人に聞き取る
優先度の高い業務から、知っている人に聞き取ります。本人に一から書いてもらうより、聞き手が質問して答えてもらうほうが、当たり前になっている判断まで出てきやすくなります。聞き取りでは「なぜそうしたのか」より「そのとき何を見て決めたのか」と聞くのがこつです。
4. 文書にして、聞かれる所に置く
聞き取った内容を、手順と判断の決め手に分けて文書にします。作った文書は、社内の共有フォルダや社内Wikiなど、質問が出たときに探せる所に置き、どれが最新かが分かるようにしておきます。
5. 答えられなかった質問で直し続ける
文書を作ったあとも、聞かれたのに資料で答えられなかった質問を記録し続け、そのつど文書を直します。ここまでを日々の仕組みにしておくと文書が古くなりにくく、次の異動や退職のときにも、たまった文書から引き継げます。
属人化している所の見つけ方|答えられなかった質問の記録から

属人化の解消で最初につまずきやすいのは、どこが属人化しているかを見つけるところです。ここでは、ツールを入れる前にできる見つけ方として、社内で聞かれた質問を記録する方法を紹介します。
本人に「何が属人化していますか」と聞かない理由
属人化を見つけようとして担当者に業務を書き出してもらうのはよくある進め方ですが、本人に書き出してもらう方法には、当たり前の判断は出てこない、年に数回の例外が抜ける、忙しいと後回しになる、という弱みがあります。一方で、周りから実際に聞かれた質問には、その人に頼っている所がそのまま表れます。聞かれたことを記録すれば、止まりやすい所が見え、誰に頼っているかが分かり、本人が気づいていない所も分かります。
期間を決めて、聞かれたことを書き留める
まずは期間を決めて(たとえば2週間)、社内のチャット、メール、電話、口頭で受けた質問を書き留めます。記録する人は、よく聞かれる立場の人でも、聞く側の人でもかまいません。次の表をコピーして使ってください。
日付 | 聞いた人 | 聞かれたこと | 答えた人 | 資料で答えられたか | 答えが書いてある所 |
(記入例)1日目 | 営業部 | 取引先から納期の前倒しを頼まれたときの判断 | 業務課のベテラン | 答えられない | どこにも書いていない |
(記入例)2日目 | 総務部 | 来客用の駐車場の予約の仕方 | 総務の担当者 | 答えられた | 共有フォルダの手順書 |
(記入例)3日目 | 新人 | 見積の値引きを誰が決めるか | 課長と担当者で答えが違った | 答えられない | 古い規程しかない |
記入例は書き方の目安なので、自社に合わせて列を足したり減らしたりしてください。大切なのは「資料で答えられたか」の列で、ここが「答えられない」になった質問が、属人化している所の手がかりになります。
記録から見える3つのサイン

記録がたまったら、次の3つのサインを探します。
サイン | 記録での見え方 | 確かめること |
同じ人に質問が集まる | 「答えた人」の列に、同じ人が何度も出る | ほかの人でも答えられるか、その人の頭の中にしか無い知識か |
資料で答えられない | 「資料で答えられたか」が「答えられない」になる | 文書が無いのか、古いのか、見つからないのか |
人によって答えが違う | 同じ質問に、答えた人ごとに違う答えが出る | 条件の違いか、判断の基準が言葉になっていないのか |
3つのうち最初に手を付けたいのは、「同じ人に質問が集まる」と「資料で答えられない」が重なっている質問です。その人が休んだり異動したりした途端に、答えられる人も資料もなくなってしまうからです。
属人化をAIで解消するには

AIで属人化を解消するには、AIに社内の資料から答えさせ、答えられなかった質問を記録し、その答えを知っている人にAIが聞き取って文書に残す、という流れを日々回すのが当社の考える進め方です。流れは、社内からの質問、AIが社内資料で答える、答えられなかった質問が残る、知っている人にAIが聞き取る、承認して文書にする、の5つで、できた文書は次の質問への答えに使われます。前の章で紹介した「質問の記録」と「聞き取り」を、AIに任せて続けやすくした形だと考えると分かりやすいと思います。
AIは「学習」ではなく、社内の資料を引いて答える
「社内のデータをAIに学習させれば、ベテランの知識をAIが覚えてくれる」と考えられがちですが、社内の資料で答えるAIは、質問のたびに資料を探し、その中身をもとに答える仕組みが一般的です。言い換えると、AIが答えられるのは資料に書いてあることまでで、資料にない判断は、知っている人に聞いて文書にしない限り答えられません。
答えられなかった質問が、属人化の地図になる
AIが資料で答えられなかった質問は、資料が無いのか、古いのか、探し方の問題なのかを確かめると、「会社としてまだ文書になっていない知識」の一覧になります。人が手で記録する方法は続けるのに手間がかかりますが、AIに聞く形にしておけば、聞かれたことと答えられなかったことが自然に残ります。
当社の「相棒AI」は、社内の資料から引用を付けて答え、引用と元の資料を照らし合わせて、資料に無い引用を出さないように作っています。答えられなかった質問は懸案として残り、管理する人は何が聞かれ、何に答えられなかったかを見られるので、どこの知識が足りないのかを日頃から把握できます。
知っている人にAIが聞き取って、文書に残す
足りない知識が分かったら、それを知っている人に聞き取って文書にします。当社が開発中の「Knowledge Hub」は、相棒AIが残した懸案をもとに、知っている人にAIが質問し、答えをまとめて、承認を経て社内の文書にする仕組みです。
聞き取りの考え方は、当社が開発している、対話から言葉になっていない知識を引き出すツール(co-think)がもとになっています。そのとき見ていた手がかり、ほかに考えた選択肢、決め手、状況のつかみ方、想定と違ったこと、迷ったことを順に聞き、答えはまず肯定して受け止めます。
当社が引き継ぎ用の聞き取りのプロンプトを架空の業務で試したときは、前任者に仕込んだ9つの知識のうち、引継書に理由まで残ったのは、表を自分で埋めた場合が3つ(ほかに4つは項目の名前だけ)、AIに聞き取らせた場合が8つでした。前任者の役もAIが演じた1回だけの試しで、使ったAIは Claude だけなので、実際の人で同じ差が出るかは確かめていませんが、聞き方によって残る中身が変わることは読み取れます。
AIに任せること、人が決めること

AIを入れても、属人化の解消がすべて自動で進むわけではありません。AIに任せることは、資料を探して答える、答えられなかった質問を残す、知っている人に質問する、の3つです。人が決めることは、判断の決め手を話す、できた文書を承認する、どの業務から始めるかを決める、の3つで、ここを人が持つことで、AIの答えが会社の判断とずれにくくなります。
社内の情報をAIに入れるときの注意
社内の質問をAIに任せる前に、入力した内容がAIのサービスの改善に使われる設定になっていないかを確かめておきます。取引先の名前や個人情報のように外へ出せない情報を扱うなら、会社で使ってよいと決めたAIの環境に限って使うのが安全で、確かめ方は「生成AIに機密情報を学習させない方法」で詳しく解説しています。
社内の質問から、属人化している所を見つける仕組みについて相談する
属人化の解消に向けた事例|当社と導入先の取り組み
この記事で紹介した「答えられなかった所から足りない知識を見つけ、知っている人に聞き取って残す」やり方は、当社自身が自社の業務で最初に試しています。ここでは、当社で試した結果と、相棒AIを導入している会社での取り組み、当社が仕事で見ている場面を紹介します。
代表の頭の中にあった判断を、手順書にしてAIに任せた
当社では、外注先からの請求書の受け取りや売上の請求書の作成、顧客情報の登録、取引先へのメールの返信といった業務で、判断の多くが代表の頭の中にありました。そこで業務ごとに手順書を作ってAIに任せ、手順書で判断できないところはAIが代表に1問ずつ確かめ、その答えを手順書に書き足す形にしました。
AIが手順書どおりに動いて結果が違ったときも、代表が直した内容をその場で手順書に足しています。記録を取り始めた2026年9月5日から10月31日までの約2か月で、手順書への変更は、顧客情報の登録で22回、メールの返信で15回、外注先の請求書の受け取りで8回、請求書の作成で7回ありました。変更の回数は、判断を手順書に書き足していった記録で、属人化がどこまで解消したかを測ったものではありません。なお、ここで使っているのは汎用のAIと手順書で、相棒AIの導入事例ではありません。
業務 | AIが迷った所・違う結果になった所 | 書き足した判断 |
顧客情報の登録 | 取引先の社長から受注したあと、同じ会社のほかの社員と名刺交換したとき、その人の状態をどう付けるかが決まっていなかった | 会社との関係は会社ごとに1つにし、人ごとに違う値を入れない |
顧客情報の登録 | 「オープン」という状態の意味が、手順書と代表の付け方で違っていた(メールの送り先を選ぶ途中で分かった) | オープンは相手と話せた人、進行中は提案や見積を出した人、と分けた |
メールの返信 | AIが作った返信の文面を、代表が同じ方向に何度も削った | 同じ方向に2回以上直った所だけを、決まりとして足した |
給与の振込 | 振り込む分がまだ無い月にも、中身の無い振込のデータが作られていた | 中身が無い月はデータを作らない |
請求書の作成 | 発注書の無い新しい取引先で、取引先の情報が空のまま止まった | 顧客の記録から取引先の情報を読み、「この内容で登録してよいか」を1問で確かめてから登録する |
上の5つは、どれも手順書を作った時点では書かれておらず、AIが実際に業務をして迷ったり違う結果を出したりしたときに、代表の判断として初めて言葉になったものです。AIが答えられなかった所や間違えた所が、そのまま足りない知識の一覧になっていたことになります。
書き足すだけでは手順書が長くなり、AIにも人にも読みにくくなるため、当社では手順書ごとに長さの上限を決め、超えたら重なりや、もう要らない注記を削っています。属人化を解消して残した知識も、増やすだけでなく、ときどき削って読める量に保つことが大切です。
夜中の電話と、ベテランしか場所が分からない外国語のマニュアル
相棒AIを導入している、設備の保守を担うある会社では、プラントが24時間動いているため、夜中でも何か起きれば、内容の分かる人に電話して判断を仰いでいました。小さなことでも新人は電話をかけるしかなく、それがいつの間にか、決まったオペレーションになっていました。
もう1つは、外国語で書かれた大量のマニュアルです。どのマニュアルのどのあたりに何が書いてあるかを、おおよそでも把握しているのはベテランだけで、ほかの人が探すのは難しい状態でした。
そこで、夜中の電話で聞いていたような質問を、相棒AIがマニュアルをもとに答える形に置き換えていくことにしました。外国語のマニュアルも、日本語で質問すれば該当する所を示して答える形にして、ベテランでなくても誰でも引けるようにすることを目指しています。
この会社で属人化していたのは、判断そのものに加えて、「誰に聞けばよいか」「どのマニュアルのどこに書いてあるか」という入口だった、と当社は見ています。取り組みはまだ途中で、夜中の電話がどれだけ減ったかは、これから確かめていきます。
他社が作った社内システム
当社は、他社が作ったWebサイトやシステムを引き継ぐ仕事もしています。こうした引き継ぎでまず困るのは、全体でどれくらいの量があり、どんなページや機能があるのかが分からないことで、資料が残っていても更新されていないことが少なくありません。以前はファイルやページの数までは人の手で数えられても、細かいところは目で見て回るだけでは拾いきれずに抜け落ちていましたが、今はAIで全部のファイルを読み込んで全体をつかみ、分からない所だけを聞けるようになりました。他社が作ったシステムの引き継ぎは、引き継ぎ・立て直しのページで相談を受け付けています。
属人化の解消でつまずきやすいところ
マニュアルを作って終わる
属人化の解消でよくあるのは、マニュアルや社内Wikiを作ったところで手が止まり、更新されないまま古くなる形です。作ることより、聞かれたのに答えられなかった質問で直し続ける仕組みを先に決めておくほうが、長く使われる文書になります。社内Wikiの作り方と失敗しやすい理由は、「社内Wikiを無料で作る方法」でも解説しています。
担当者が知識を出したがらない
知識を出すと自分の役目がなくなる、と感じる担当者もいます。書いてもらうのではなく聞き取る形にすれば本人の手間が減り、答えをまず肯定して受け止めることで話してもらいやすくなるので、知識を共有したことを評価に入れるのとあわせて考えてみてください。
すべてを標準化しようとする
すべての業務を一度に誰でもできる形にしようとすると、手間がかかるうえに、担当者の工夫まで消してしまうことがあります。まずは止まると困る業務の、答えられなかった質問から手を付け、少しずつ広げていくほうが進めやすくなります。
属人化の解消についてよくある質問
どの業務から始めればいい?
担当者が休んだときに止まる業務のうち、質問がその人に集まっていて、資料でも答えられないものから始めるのがおすすめです。いきなり会社全体で始めるより、1つの部署の1つの業務で試すほうが、どんな知識が抜けやすいかが見えやすくなります。
どのくらいの期間がかかる?
業務の量や、知っている人の時間をどれだけ取れるかで大きく変わるので、一律の期間はありません。最初の記録と聞き取りは期間を区切って始め、その後は答えられなかった質問で直し続ける形にすると、終わりの見えない作業になりにくくなります。
ツールを入れれば解消できる?
ツールは記録や文書を残しやすくするための手段で、入れるだけで属人化が解消するわけではありません。どこが属人化しているかを見つけ、知っている人に聞き取って文書にする流れがあってはじめて、ツールが役に立ちます。
まとめ|属人化は「聞かれていること」から見つけ、聞き取って残す
属人化を解消するには、担当者の記憶に頼って業務を書き出すより、実際に聞かれていることと答えられなかった質問の記録から属人化している所を見つけるほうが、止まりやすい所にたどり着きやすくなります。見つけた所は、知っている人に聞き取って判断の決め手まで文書にし、答えられなかった質問で直し続けることで、属人化しにくい状態を保てます。
- 期間を決めて、社内で聞かれていることを記録する
- 同じ人に集まる質問と、資料で答えられない質問から手を付ける
- 知っている人には書いてもらうより聞き取り、「何を見て決めたか」を聞く
- 文書は聞かれる所に置き、答えられなかった質問で直し続ける
- AIを使うなら、答えられなかった質問を残し、聞き取りまでつなげる
まずは、担当者が休むと止まる業務を1つ選び、聞かれていることの記録から始めてみてください。
この記事を書いた人

株式会社デイワン 代表取締役 月森 隼人
不動産コンサルタント、注文住宅やマンションなどの企画営業を経験し、大手広告代理店のデジタル部署にて、Web領域でのブランディングややディレクションなど上流から幅広く担当。



