再発防止策の書き方と例文|報告書の項目と、「注意します」で終わらせない記録の残し方

再発防止策の書き方を、報告書の項目の表と記入例で解説。なぜなぜ分析で根本原因を探す手順、「注意します」を具体的な策に書き換える例文、書いた記録を社内の知識として残し次の問い合わせで使う方法までまとめました。
目次
1.再発防止策とは|応急処置・是正との違い
1-1.「注意します」が再発防止策にならない理由
2.再発防止の報告書に書く項目
3.再発防止策の書き方 5つの手順
3-1.1. 起きたことを事実だけで書く
3-2.2. 直接原因と根本原因を分ける(なぜなぜ分析)
3-3.3. 策を「何を・誰が・いつまでに」で書く
3-4.4. 効果をいつ・何で確かめるかを決める
3-5.5. 次に使う人のための「知識」を書き添える
4.「注意します」を書き換える例文
5.再発防止の報告書の記入例
6.報告書を出して終わりにしない|記録を社内の知識にする
6-1.報告書が使われない3つの理由
6-2.答えられなかった質問から、足りない知識を見つける
7.まとめ|再発防止策は、次に使う人まで考えて書く
8.FAQ 案(microCMS の FAQ の欄に入れる)
ミスやトラブルのあとに再発防止の報告書を求められ、再発防止策の欄に何を書けばよいか手が止まった経験のある方は多いのではないでしょうか。「以後、十分に注意します」「確認を徹底します」と書いて出したものの、しばらくすると似たことがまた起きる、という繰り返しもよく聞く話です。
さらにもう一つの問題は、せっかく書いた報告書が提出されたあと書庫やフォルダに眠り、次に同じ症状に出会った人や、同じことを聞かれた人の目に届かないことです。書いた本人が異動や退職でいなくなると、その経験は会社に残っていないのと同じになってしまいます。
再発防止策は、根本原因に対して「何を・誰が・いつまでに」を決め、効果の確かめ方まで書くと実際に効く策になります。そのうえで、次に使う人が何を見て、どう判断すればよいかを書き添え、社内で探せる所に残すと、報告書は一度きりの書類ではなく会社の知識になります。この記事では、報告書の項目の表と記入例、なぜなぜ分析の進め方、例文、記録を知識として使う方法を順に説明します。
再発防止策とは|応急処置・是正との違い
再発防止策は、起きたミスやトラブルと同じことが、もう一度起きないようにするための手立てです。その場で被害を止めたり、相手に謝ったり、壊れたものを直したりする応急処置とは役目が違い、起きた原因の側に手を入れる点に特徴があります。
報告書の名前は会社によって違い、事実の経緯を報告する顛末書や、反省と謝罪を述べる始末書の中に、再発防止策の欄が置かれていることもあります。どの書類であっても、再発防止策の欄で求められているのは、気持ちではなく、同じことが起きにくくなる具体的な変更です。
「注意します」が再発防止策にならない理由
「注意します」「徹底します」は、書いた人の気持ちとしては本当でも、何が変わるのかが書かれていません。人の注意力は、忙しさや疲れで変わりやすいので、注意だけに頼った策は、同じ条件がそろったときにまた破られやすくなります。
また、誰がいつまでに何をするのかが書かれていないと、上司やほかの部署は、その策が実行されたかどうかを確かめられません。再発防止策は、読んだ人が「何が、いつから変わるのか」を言える形で書くことが出発点になります。
再発防止の報告書に書く項目
報告書は、起きたことの事実から始めて、原因、策、効果の確かめへと順に進め、最後に次に使う人への知識と、残した場所を書く流れにすると、読む人が迷いません。下の13項目は、社内向けの再発防止の報告書で使える項目を並べたものです。

No. | 項目 | 書くこと |
1 | 件名 | 何が起きたかが一行で分かる名前 |
2 | 報告日・報告者 | 書いた日と、書いた人の部署・名前 |
3 | 発生日時・発見日時 | 起きた日時と、気づいた日時(分かれば両方) |
4 | 発生場所・対象 | 場所、業務、設備、顧客や案件 |
5 | 起きたこと(事実) | いつ・どこで・誰が・何を・どうしたかを、推測を混ぜずに |
6 | 影響 | 範囲・件数・相手への影響。分からない所は「確認中」 |
7 | 応急処置 | その場で行った対応と、その結果 |
8 | 直接原因 | 起きたことのすぐ手前にあった原因 |
9 | 根本原因 | 「なぜ」を重ねて見つけた、仕組みの側の原因 |
10 | 再発防止策 | 何を・誰が・いつまでに。根本原因と1対1で対応させる |
11 | 効果の確かめ | いつ・何で確かめるか、確かめた結果 |
12 | 次に使う人への知識 | 同じ症状・同じ問い合わせのとき、何を見て、どう判断し、誰に聞くか |
13 | 共有先・保存先 | 誰に伝えたか、どこに残したか(手順書・FAQ など、直した文書も) |
多くの報告書の書式は11の効果の確かめまでで終わっていますが、この記事では12と13を足しています。12は、報告書を読み返す人ではなく、次に同じ場面に出会う人のための欄で、13はその知識をどこで探せばよいかを示す欄です。この2つが、あとで説明する「記録を社内の知識にする」ための土台になります。
再発防止策の書き方 5つの手順
ここからは、上の項目を埋めていく順番に沿って、書き方の手順を5つに分けて説明します。
1. 起きたことを事実だけで書く
最初に、いつ・どこで・誰が・何を・どうしたかを、見たこと・記録に残っていることだけで書きます。「たぶん」「おそらく」が入る内容は事実の欄には書かず、原因を考える段に回すと、読む人が事実と推測を取り違えずにすみます。
時刻や件数のように、あとから記録で確かめられるものは、記憶に頼らずに記録を見て書きます。分からない所を空けておくのではなく「確認中」と書いておくと、何がまだ分かっていないのかが読む人に伝わります。
2. 直接原因と根本原因を分ける(なぜなぜ分析)
直接原因は、起きたことのすぐ手前にあった原因で、「確認をしないまま送った」「設定の値を読み違えた」のように書けます。ただ、直接原因に対する策は「確認する」「読み違えない」になりやすく、それでは「注意します」とほとんど変わりません。

そこで、直接原因に「なぜそうなったのか」を重ねて、仕組みの側の原因までさかのぼります。この進め方はなぜなぜ分析と呼ばれ、「なぜ」を5回ほど繰り返すのが目安として知られています。回数にこだわる必要はなく、手順・道具・情報・役割分担のように、人を入れ替えても同じことが起きる原因にたどり着いたら、そこを根本原因とします。
なぜを重ねるときは、「本人の不注意」「意識が低い」のように人の性格に行き着いたら、一つ手前に戻ります。人を責める答えからは仕組みの策が出てこないうえ、次から報告が上がりにくくなるので、「なぜ、その人がその状態で作業することになったのか」を問い直します。
3. 策を「何を・誰が・いつまでに」で書く
根本原因が見つかったら、それぞれに対して策を一つずつ書きます。策には「何を変えるか」「誰が行うか」「いつまでに行うか」の3つを入れ、根本原因と策が1対1で対応しているかを見直すと、抜けている原因に気づきやすくなります。
策の強さにも差があります。間違えようがない形に変える(入力の欄を選ぶ形にする・自動で止める)、間違えたら気づける形にする(チェックの欄を足す・ダブルチェックの段を設ける)、手順書や教育で伝える、の順に人の注意に頼る度合いが大きくなるので、できる範囲でより上の策を選びます。
4. 効果をいつ・何で確かめるかを決める
策を書いて終わりにすると、実行されたか、効いたかが分からないままになります。「1か月後に、同じ作業の記録を見て再発がないかを確かめる」「次の点検の日に、新しいチェック欄が使われているかを見る」のように、確かめる日と、何を見るかを先に決めておきます。
確かめた結果は、同じ報告書の11の欄に追記します。効いていなかったときは、根本原因の見立てが違っていた合図なので、手順2に戻って見直します。
5. 次に使う人のための「知識」を書き添える
最後に、次に同じ症状に出会った人や、同じことを聞かれた人が使える形で、知識を書き添えます。書くのは、どの症状から何を疑うか、まず何を見るか、どう判断するか、分からないときに誰に聞くか、の4つです。
再発防止策は「起こさないため」の手立てですが、12の知識は「起きかけたとき、聞かれたときに、早く正しく動くため」の手がかりです。報告書の中で一番、書いた人の頭の中にしかない内容なので、ここを書いておくと、その人がいないときにも経験が生きます。
「注意します」を書き換える例文
よくある書き方を、根本原因と結び付いた具体的な策に書き換えた例です。どれも、読んだ人が「何が、いつから変わるのか」を言えるかを基準にしています。

よくある書き方 | 書き換えた例 |
今後は送付先の確認を徹底します | 宛先を手で入力する欄をやめ、顧客の一覧から選ぶ形に変更する(担当:営業事務、11月末まで) |
入力ミスがないよう注意します | 数量の欄に上限の値を設け、超えたら保存できないようにする(担当:システム担当、来月の更新で) |
連絡漏れがないよう気をつけます | 受注の連絡を受けたら、共有の表に記入するまでを手順書に足し、朝会で表を読み上げる(担当:課長、今週から) |
担当者に再教育を行います | 設定の値を読み違えた画面に、正しい値の範囲を書いた札を貼り、手順書の該当の頁も直す(担当:現場責任者、今月中) |
ダブルチェックを徹底します | チェックした人の名前と時刻を記録する欄を伝票に足し、空欄のまま次の工程に回さない(担当:工程管理、次の版の伝票から) |
例文はそのまま写すのではなく、自社の根本原因に合わせて書き換えて使ってください。同じ「送付先の誤り」でも、宛先の一覧が古いのが原因なら、策は一覧を直す仕組みの側になります。
再発防止の報告書の記入例
ここからは想定の例です。部品の出荷の際、注文と違う型番の部品を送ってしまった、という場面を考えてみます。
No. | 項目 | 記入例 |
1 | 件名 | 部品の型番違いによる誤出荷 |
2 | 報告日・報告者 | 11月6日 物流課 担当者 |
3 | 発生日時・発見日時 | 発生 11月4日 午後の出荷/発見 11月5日 午前、顧客からの連絡 |
4 | 発生場所・対象 | 第2倉庫の出荷の工程、取引先1社あての注文1件 |
5 | 起きたこと(事実) | 注文の型番「A-120」に対し、隣の棚の「A-102」を10個出荷した。出荷の記録では型番の読み合わせは行われていなかった |
6 | 影響 | 取引先の組み立ての作業が半日遅れた。同じ日に出荷したほかの注文に誤りは無かった(記録で確認済み) |
7 | 応急処置 | 11月5日 午後に正しい部品を届け、誤って送った部品を回収した |
8 | 直接原因 | 型番の似た部品が隣の棚に並んでおり、目で見て取り出した |
9 | 根本原因 | 棚の並びが型番の順で、似た型番が隣り合う決まりになっていた。出荷の工程に、型番を照らし合わせる段が無かった |
10 | 再発防止策 | 似た型番の部品を離れた棚に移す(倉庫の責任者、11月15日まで)。出荷の前にバーコードで型番を照らし合わせる段を足す(物流課長、11月30日まで) |
11 | 効果の確かめ | 12月の第1週に、出荷の記録で照らし合わせの段が全件で行われているかと、誤出荷の有無を確かめる |
12 | 次に使う人への知識 | 「届いた部品が違う」と連絡が来たら、まず出荷の記録の型番と棚の場所を見る。似た型番の組み合わせは棚の一覧の備考に書いてある。判断に迷うときは倉庫の責任者に聞く |
13 | 共有先・保存先 | 物流課・営業課に共有。出荷の手順書と、社内の問い合わせの窓口の資料に12の内容を足した |
この例で、9の根本原因に二つの原因を書き、10の策をそれぞれに一つずつ対応させている点に注目してください。12と13があることで、次に「届いた部品が違う」という連絡を受けた営業の担当者も、倉庫の人に聞く前に何を見ればよいかが分かります。
報告書を出して終わりにしない|記録を社内の知識にする
ここまでの書き方で、報告書そのものは良くなります。ただ、報告書が本当に役に立つのは、次に同じ場面が来たときで、そのとき読まれなければ、どれだけ丁寧に書いても経験は生かされません。
報告書が使われない3つの理由
一つ目は、置き場所が分からないことです。報告書は部署ごとのフォルダや紙の綴りに残ることが多く、別の部署の人や新しく入った人は、そもそも報告書があることを知りません。
二つ目は、探す言葉が合わないことです。報告書の件名は書いた人の言葉で付いていますが、次に困った人は、目の前の症状やお客様の言い方で探すので、同じ出来事なのに見つけられないことがあります。三つ目は、報告書の中で一番役に立つ「どの症状から何を疑うか」が、そもそも書かれていないことで、これは先ほどの12の欄で補えます。
答えられなかった質問から、足りない知識を見つける
残した報告書や手順書を社内の資料として読み込ませ、AIに質問すると引用をつけて答える形にしておけば、次に困った人は自分の言葉で聞くだけで、過去の報告書の該当の箇所にたどり着けます。当社の「相棒AI」は、社内の資料から引用をつけて答え、資料に無い内容を引用として出さないように作っています。

もう一つ大事なのは、AIが答えられなかった質問が記録に残ることです。相棒AIでは、答えられなかった質問は懸案として残り、管理する人は、何が聞かれ、何に答えられなかったかを見られます。当社が相棒AIを提供している現場でも、同じ症状を別々の3人が聞き、資料に答えが無かったという記録がありました(詳しくは「ナレッジ共有が難しいのはなぜ?5つの理由と、AIで集めて使う仕組み」で紹介しています)。
答えられなかった質問は、まだ報告書や手順書になっていない知識の一覧です。同じ質問が何度も残っている所は、再発防止の報告書を書くべき所であり、12の欄を書き足すべき所でもあります。当社が開発中の「Knowledge Hub」は、相棒AIが残した懸案をもとに、知っている人にAIが質問し、答えをまとめて、承認を経て社内の文書にする仕組みです。
特定の人だけが知っている状態をどう解消するかは、「属人化を解消する手順と事例|答えられなかった質問から見つけ、AIで聞き取って残す」で、手順に分けて説明しています。
まとめ|再発防止策は、次に使う人まで考えて書く
再発防止策は、事実と原因を分け、なぜを重ねて仕組みの側の原因を見つけ、それに対して「何を・誰が・いつまでに」と効果の確かめ方を決めると、具体的で確かめられる策になります。そこに、次に同じ場面に出会う人のための知識と、残した場所を書き添えると、報告書は書いた人がいなくても使われる会社の知識になります。
- 起きたことは、事実と推測を分けて書く
- 直接原因に「なぜ」を重ね、人を入れ替えても起きる仕組みの側の原因を見つける
- 策は根本原因と1対1で、何を・誰が・いつまでにを入れる
- 効果をいつ・何で確かめるかを決め、結果を追記する
- 次に使う人への知識(何を疑い、何を見て、誰に聞くか)を書き、探せる所に残す
デイワンの相棒AIは、報告書や手順書などの社内の資料から引用をつけて答え、答えられなかった質問を懸案として残します。書いた記録を次の問い合わせで使える形にしたい方は、お気軽にご相談ください。
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FAQ 案(microCMS の FAQ の欄に入れる)
1. Q: 再発防止策と応急処置は何が違いますか?
A: 応急処置は、その場で被害を止めたり、相手への影響を小さくしたりする対応です。再発防止策は、起きた原因の側に手を入れて、同じことが起きにくくなるようにする手立てです。報告書では欄を分けて書きます。
2. Q: 根本原因が一つに決まらないときは、どう書けばよいですか?
A: 原因が複数あるときは、それぞれを根本原因の欄に書き、策を一つずつ対応させます。並べ方と工程のように、別の種類の原因が重なっていることも珍しくありません。
3. Q: なぜなぜ分析は何回「なぜ」を繰り返せばよいですか?
A: 5回ほどが目安として知られていますが、回数より、人を入れ替えても同じことが起きる仕組みの側の原因にたどり着いたかで判断します。人の性格に行き着いたら、一つ手前に戻って問い直します。
4. Q: 顛末書や始末書にも、同じ書き方を使えますか?
A: 使えます。どちらの書類でも、再発防止策の欄は「何を・誰が・いつまでに」と効果の確かめ方を入れると具体的になります。始末書の反省や謝罪の部分は、会社の決まりに合わせてください。
5. Q: 書いた報告書は、どこに残せばよいですか?
A: 部署のフォルダだけでなく、次に困った人が探す所に残します。手順書や問い合わせの窓口の資料に要点を足したり、社内の資料から答えるAIに読み込ませたりすると、報告書を知らない人にも届きます。
よくある質問
- 再発防止策と応急処置は何が違いますか?
- 応急処置は、その場で被害を止めたり、相手への影響を小さくしたりする対応です。再発防止策は、起きた原因の側に手を入れて、同じことが起きにくくなるようにする手立てです。報告書では欄を分けて書きます。
- 根本原因が一つに決まらないときは、どう書けばよいですか?
- 原因が複数あるときは、それぞれを根本原因の欄に書き、策を一つずつ対応させます。並べ方と工程のように、別の種類の原因が重なっていることも珍しくありません。
- なぜなぜ分析は何回「なぜ」を繰り返せばよいですか?
- 5回ほどが目安として知られていますが、回数より、人を入れ替えても同じことが起きる仕組みの側の原因にたどり着いたかで判断します。人の性格に行き着いたら、一つ手前に戻って問い直します。
- 顛末書や始末書にも、同じ書き方を使えますか?
- 使えます。どちらの書類でも、再発防止策の欄は「何を・誰が・いつまでに」と効果の確かめ方を入れると具体的になります。始末書の反省や謝罪の部分は、会社の決まりに合わせてください。
- 書いた報告書は、どこに残せばよいですか?
- 部署のフォルダだけでなく、次に困った人が探す所に残します。手順書や問い合わせの窓口の資料に要点を足したり、社内の資料から答えるAIに読み込ませたりすると、報告書を知らない人にも届きます。
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記事を読むこの記事を書いた人

株式会社デイワン 代表取締役 月森 隼人
不動産コンサルタント、注文住宅やマンションなどの企画営業を経験し、大手広告代理店のデジタル部署にて、Web領域でのブランディングややディレクションなど上流から幅広く担当。






