社内チャットボットを自作する前に|NotebookLM・Difyでできること、答えられない質問の見つけ方

社内チャットボットを NotebookLM や Dify で自作する前に知っておきたい、できること・確かめることと、作った後に答えられなかった質問を見つけて資料を直す運用の考え方を、当社が社内資料で答えるAIを提供している現場の記録からまとめました。
目次
1.社内チャットボットは自作できる?
1-1.FAQ型と、社内資料で答える型
1-2.無料で作れる?
2.NotebookLM・Dify・Gemで作るとき、できること
2-1.NotebookLMで作る
2-2.Difyで作る
2-3.Gem・GPTs・Copilot などで作る
3.作る前に決めておく3つのこと
3-1.1. 答えさせる範囲
3-2.2. 元にする資料と、古い資料の扱い
3-3.3. 答えられなかった質問を見て、直す人
4.自作の社内チャットボットが失敗しやすい所
4-1.答えられなかった質問が、どこにも残らない
4-2.資料が古い・食い違っていても気づけない
4-3.作った担当者がいなくなると止まる
5.差が出るのは「運用が見える」かどうか
5-1.実際の記録から|同じ症状を3人が聞いていた
5-2.答えられなかった質問から、資料を直す
6.自作で十分な会社、頼んだ方がよい会社
7.当社の相棒AIで行っていること
8.まとめ|作る前に、見る人と直す流れを決める
9.FAQ 案(FAQ の欄に入れる)
総務や情報システムの担当者のところには、「有給の申請はどこから出すのか」「この機械のエラーはどう直すのか」といった同じ質問が、毎日のように届きます。NotebookLM や Dify のような道具を使えば、社内の資料を読み込ませて答える社内チャットボットを、プログラムを書かずに自分で作れるようになり、試してみた会社も多いはずです。
ただ、作ること自体は難しくなくても、しばらく使ってみると「本当に使われているのか」「間違った答えが返っていないか」「答えられなかった質問は何だったのか」が分からなくなりがちです。この記事では、社内チャットボットを自作する前に知っておきたい、道具でできることと確かめること、そして作った後に何を見て直していけばよいかを、当社が社内資料で答えるAIを提供している現場の記録をもとに整理します。
規程やマニュアルを読ませて答えさせるだけなら、自作の道具で足りることが多くあります。差が出るのは作った後で、何が聞かれ、何に答えられなかったかを見て、資料を直す人と流れがあるかどうかで、使われ続けるかが決まります。
社内チャットボットは自作できる?
社内チャットボットは、社員からの質問に、社内の規程・マニュアル・手順書などをもとに答える仕組みです。お客様からの問い合わせに答える社外向けのチャットボットと違い、答える相手が社員で、元にする資料も社内のものなので、外に出せない情報をどう扱うかが最初の論点になります。
作ること自体は、今は自分でもできます。大きく分けると、質問と答えの組をあらかじめ用意しておく型と、社内の資料を引いて答える型の2つがあり、どちらを選ぶかで準備の中身が変わります。
FAQ型と、社内資料で答える型
FAQ型は、「よくある質問」と答えの組を用意しておき、近い質問が来たらその答えを返します。返る答えは用意したものだけなので内容は安定しますが、用意していない質問には答えられず、組を作って直す手間がかかり続けます。
社内資料で答える型は、規程やマニュアルを読み込ませておき、質問のたびに関係する箇所を探し出して、その内容をもとにAIが答えを組み立てます。この形は RAG(検索拡張生成)と呼ばれ、資料を入れ替えれば答えも変わるので、問答を一つずつ作る必要はありません。その代わり、資料が古い・食い違っている・そもそも無い、といった資料の側の問題が、そのまま答えの質に出ます。

FAQ型 | 社内資料で答える型(RAG) | |
準備するもの | 質問と答えの組 | 規程・マニュアルなどの資料 |
答えられる範囲 | 用意した組だけ | 資料に書いてあること |
手間がかかる所 | 組を作り、直し続ける | 資料を整え、古い資料を直す |
資料で答える仕組みと作り方の手順は、「社内資料で答えるAIの作り方」で詳しく書いています。
無料で作れる?
道具によっては、無料の範囲で試しに作れます。ただし、無料の範囲で使える量や機能、そして入れた資料や会話がどう扱われるか(AIの学習に使われるかどうかなど)は、道具ごと、契約ごとに違い、改定もあります。社内の資料を入れる前に、使う道具の公式の説明で、契約しているプランでの扱いを確かめてください。
NotebookLM・Dify・Gemで作るとき、できること
自作に使われる道具はいくつもあり、どれが優れているというより、何を任せたいかで向き不向きが分かれます。ここでは名前の挙がりやすい道具を、当社が公式の説明で確かめられた範囲で並べます。細かな仕様や料金は変わるので、使う前に必ず各社の公式で確かめてください。

道具 | 向いている使い方 | 作る前に確かめること |
NotebookLM | 資料を入れて、引用付きで答えさせる | 共有の範囲と権限、契約での資料の扱い |
Dify | 答える流れや、ほかの道具とのつなぎを組む | 誰が動かし続けるか、資料と記録の置き場 |
Gem・GPTs・Copilot など | 手元の業務の聞き相手を手早く作る | 社内の資料だけで答えるか、会話の記録の扱い |
NotebookLMで作る
NotebookLM は、入れた資料(ソース)をもとに答える道具です。公式のヘルプでは、回答にソースから引いた文が引用として付き、引用を選ぶとソースの該当箇所に移って前後を確かめられると説明されています。規程やマニュアルを読ませて、根拠を見ながら答えさせる用途には、これだけでかなりの所まで届きます。
社内の人に使ってもらうには、ノートブックを共有します。ヘルプでは、相手のメールアドレスを足して「閲覧者」か「編集者」の権限を与える形が説明されており、閲覧者は入っている資料も読める点に気をつける必要があります。誰に、どの資料まで見せてよいかを、作る前に決めておくと安心です。
Difyで作る
Dify は、AIが答えるまでの流れ(どの資料を探し、どう答えを組み立て、どこへ返すか)を、画面の上で組み立てられる道具として使われています。社内チャットへの返答や、ほかの道具とのつなぎ込みまで自分たちで作り込みたいときの選択肢になります。
その分、作った流れを動かし続け、壊れたときに直す人が社内に要ります。資料や会話の記録をどこに置くかも、使い方によって変わるので、作る前に決めておきます。
Gem・GPTs・Copilot などで作る
Gemini の Gem や ChatGPT の GPTs、Microsoft の Copilot のように、普段使っている生成AIの中で、特定の用途の聞き相手を作る方法もあります。手元の業務に近い所で手早く作れるのが良い所で、まず試して手応えを見るには向いています。
社内のチャットボットとして使うなら、社内の資料だけをもとに答えるのか、一般の知識も混ぜて答えるのか、そして会話の記録が誰にどう見えるのかを、使っている契約の公式の説明で確かめておきます。
作る前に決めておく3つのこと
どの道具を選んでも、作る前に決めておくと後で困らないことが3つあります。道具を比べるより先に、ここを決めておくほうが、作った後に止まりにくくなります。

1. 答えさせる範囲
最初から全社の質問に答えさせようとすると、資料が足りない所ばかりが目立ちます。人事の手続き、ある部署の機械の扱いのように、質問が多く、資料もそろっている所に絞って始めると、答えの良し悪しを確かめやすくなります。
2. 元にする資料と、古い資料の扱い
同じ事柄について新しい規程と古い規程が両方入っていると、AIはどちらを元に答えるか分かりません。どの資料を正とするか、改訂したら誰が入れ替えるかを決めておき、古い資料は入れないか、古いと分かる形にしておきます。
3. 答えられなかった質問を見て、直す人
一番抜けやすいのがここです。作ったチャットボットが何に答えられなかったかを見る人と、それを受けて資料を直す人がいないと、答えられない質問はそのまま残り、使う人は「聞いても無駄だ」と感じて元の聞き方に戻ってしまいます。月に一度など、見る日を決めておくと続けやすくなります。
自作の社内チャットボットが失敗しやすい所
自作のチャットボットがうまくいかないのは、作り方を間違えたからというより、作った後の様子が見えないまま時間がたつことが多いからです。よく止まる所は次の3つです。
答えられなかった質問が、どこにも残らない
答えが返らなかった社員は、詳しい人に直接聞いて済ませます。質問が記録に残らないので、何の資料が足りないのか、どの言い回しで探せなかったのかが、作った側には伝わりません。記録が残る道具を使っていても、誰も見ていなければ同じことで、記録を見る人と日を決めておく必要があります。
資料が古い・食い違っていても気づけない
社内資料で答える型では、答えの質は資料の質で決まります。規程が改訂されたのに古い版が残っていたり、部署ごとに書き方の違う手順書が並んでいたりすると、AIはそれらしい答えを返しますが、それが今の正しい手順かどうかは、使う人には見分けにくいものです。答えに引用が付いていれば、どの資料から答えたかを確かめられるので、古い資料に気づく手がかりになります。
作った担当者がいなくなると止まる
自作のチャットボットは、作った人だけが中身を知っている状態になりやすく、その人が異動や退職でいなくなると、資料の入れ替えも設定の直しも止まってしまいます。作る段階で、資料の置き場、設定、直し方を残しておき、少なくとも2人が触れるようにしておくと、止まりにくくなります。
差が出るのは「運用が見える」かどうか
ここまで見てきたように、規程やマニュアルを読ませて答えさせること自体は、今はどの道具でもかなりの所までできます。引用を付けて答える道具もあるので、答え方の細かな違いで道具を選んでも、大きな差にはなりにくいのが実際のところです。
使われ続けるかどうかを分けるのは、何が聞かれ、何に答えられなかったかが見え、それを受けて資料を直せるかどうかです。答えられなかった質問は、資料が無いのか、古いのか、探し方の問題なのかを調べる手がかりになり、直したあとに同じ質問へ答えられるようになれば、使う人の信頼が少しずつ戻ってきます。

実際の記録から|同じ症状を3人が聞いていた
当社が社内資料で答えるAIを提供している製造業の現場では、「無地の袋が寸法どおりに切れない」という同じ症状を、3人がそれぞれ質問していました(社名と細かな条件は伏せています)。最初の人には「資料に該当する情報が見当たりませんでした」と返り、あとの2人には、袋の切れ具合の問題か、印刷されたマークの読み取りの問題かを、AIが聞き返していました。
資料を確かめると、この症状を扱った項目はなく、原因になりうる記載は、別の症状の項目の中にしかありませんでした。足りなかったのは資料そのものではなく、「この症状のときは、この原因を疑う」という結び付きで、同じ質問が何人からも来て記録に残っていたからこそ、資料のどこが足りないのかをつかめました。この例は「ナレッジ共有が難しい理由」でも詳しく紹介しています。
答えられなかった質問から、資料を直す
答えられなかった質問を見直すときは、同じ質問や同じ症状が何度も残っている所から手を付けます。困っている人の多い所から直すほうが、使う人に効き目が伝わりやすいからです。
資料に答えが無かったときは、その答えを知っている人に聞いて資料に足し、資料はあるのに見つからなかったときは、略語や社内の呼び方と資料の言葉のずれを確かめます。直したら、同じ質問をもう一度聞いて、答えが返るかを確かめておきます。
自作で十分な会社、頼んだ方がよい会社
自作で十分なのは、答えさせたい範囲が狭く、資料が少なくて新しく、答えられなかった質問を見て資料を直せる人が社内にいる場合です。この形なら、NotebookLM のような道具で始め、様子を見ながら広げていくのが手軽です。
一方で、資料が多い・古い版が混じっている・外国語の資料がある、使う人が多く同じ質問が繰り返し来ている、作った人が抜けると直せなくなる、といった場合は、資料を整える所と、作った後の見直しを外に頼むことも考えてみてください。

自作で始めやすい | 頼むことも考えたい | |
答えさせる範囲 | 1部署・1業務に絞れる | 複数の部署・業務にまたがる |
資料 | 少なく、新しい | 多い・古い版が混じる・外国語がある |
作った後 | 見て直す人が社内にいる | 見る人も直す人も決まらない |
自分で作ったAIの道具が止まったときの進め方は、「AI業務自動化を自分で作る前に」にまとめています。
当社の相棒AIで行っていること
当社の「相棒AI」は、社内の資料から引用をつけて答え、資料に無い内容を引用として出さないように作っています。答えられなかった質問は記録に残り、管理する人は、何が聞かれ、何に答えられなかったかを見ることができます。
導入のあとも、答えられなかった質問を当社が一緒に見直し、資料と答え方を直していくので、使うほど答えられる範囲が広がっていきます。資料になっていない詳しい人の判断や経験は、AIが聞き取って資料にまとめるところから手伝います。
まとめ|作る前に、見る人と直す流れを決める
社内チャットボットは、NotebookLM や Dify のような道具を使えば自分で作れます。差が出るのは作った後で、何が聞かれ、何に答えられなかったかを見て、資料を直す人と流れがあるかどうかで、使われ続けるかが決まります。
- まず答えさせる範囲を1部署・1業務に絞る
- どの資料を正とするか、改訂したら誰が入れ替えるかを決める
- 答えられなかった質問を見る人と日を、作る前に決める
- 同じ質問が何度も残っている所から資料を直す
デイワンでは、社内資料で答えるAIの導入から、資料の整え方、導入後の見直しまでお受けしています。自分で作ってみたが使われていない、答えられない質問をどう減らせばよいか分からない、という場合も、お気軽にご相談ください。
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FAQ 案(FAQ の欄に入れる)
1. Q: 社内チャットボットは社内の問い合わせに使えますか?
A: 使えます。人事の手続きや機械の扱いのように、同じ質問が繰り返し来て、答えが規程やマニュアルに書いてある業務から始めると、効き目を確かめやすくなります。
2. Q: 無料で作れますか?
A: 道具によっては無料の範囲で試せます。ただし、使える量や機能、入れた資料や会話の扱いは道具と契約ごとに違うので、社内の資料を入れる前に公式の説明で確かめてください。
3. Q: NotebookLM で作った社内チャットボットは、ほかの社員に使ってもらえますか?
A: ノートブックを共有すれば使ってもらえます。共有された人は入っている資料も読めるので、誰にどの資料まで見せてよいかを先に決めておくと安心です。
4. Q: 自作したチャットボットが使われなくなるのはなぜですか?
A: 答えられなかった質問が記録に残らない、または誰も見ていないまま、資料が直されないことが多いからです。見る人と日を決め、同じ質問が残っている所から資料を直すと、使われ続けやすくなります。
5. Q: 自作と、頼むのとはどう選べばよいですか?
A: 範囲が狭く資料が少なく、直す人が社内にいるなら自作で始めやすいです。資料が多い・古い版が混じる・直す人が決まらない場合は、資料を整える所と導入後の見直しを頼むことも考えてみてください。
よくある質問
- 社内チャットボットは社内の問い合わせに使えますか?
- 使えます。人事の手続きや機械の扱いのように、同じ質問が繰り返し来て、答えが規程やマニュアルに書いてある業務から始めると、効き目を確かめやすくなります。
- 無料で作れますか?
- 道具によっては無料の範囲で試せます。ただし、使える量や機能、入れた資料や会話の扱いは道具と契約ごとに違うので、社内の資料を入れる前に公式の説明で確かめてください。
- NotebookLM で作った社内チャットボットは、ほかの社員に使ってもらえますか?
- ノートブックを共有すれば使ってもらえます。共有された人は入っている資料も読めるので、誰にどの資料まで見せてよいかを先に決めておくと安心です。
- 自作したチャットボットが使われなくなるのはなぜですか?
- 答えられなかった質問が記録に残らない、または誰も見ていないまま、資料が直されないことが多いからです。見る人と日を決め、同じ質問が残っている所から資料を直すと、使われ続けやすくなります。
- 自作と、頼むのとはどう選べばよいですか?
- 範囲が狭く資料が少なく、直す人が社内にいるなら自作で始めやすいです。資料が多い・古い版が混じる・直す人が決まらない場合は、資料を整える所と導入後の見直しを頼むことも考えてみてください。
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記事を読むこの記事を書いた人

株式会社デイワン 代表取締役 月森 隼人
不動産コンサルタント、注文住宅やマンションなどの企画営業を経験し、大手広告代理店のデジタル部署にて、Web領域でのブランディングややディレクションなど上流から幅広く担当。






